Sunday, January 10, 2010

The '00s: Goodbye (at Last) to the Decade from Hell



By Andy Serwer Tuesday, Nov. 24, 2009
http://www.time.com/time/nation/article/0,8599,1942834,00.html

2000年1月1日に日付が変わってからちょうど2分後のこと、日本の女川原子力発電所で警報器が作動した。世界中の政府当局とコンピューター科学者たちは固唾を飲んだ。それは2000年問題による大規模なコンピューター崩壊の始まりだったのか?実はそうではなかった。それは単発的な出来事で、新しい10年の始めに起こった一握りの誤作動のうちの1つだった。(その中には、デラウエア州の2か所の競馬場で起きた500スロットマシーンの故障がある。)恐れられていた新世紀のコンピューター崩壊はまったく起こらなかった。

その代わりに、壊れようとしていたものはアメリカン・ドリームであった。9.11にはじまり、金融崩壊で締めくくられた、今世紀最初の10年間は落ちてゆくのだろう、第二次世界大戦後アメリカが経験した中で最も気の滅入る、最も幻滅されられる10年間として。2009年が終わるまでにまだ数週間残っているが、判断を下すのに早すぎはしない。この10年を、最悪の10年と呼ぼう、もしくは、報い、夢が壊れた10年、失われた10年と呼んでもいい。何とでも好きなように呼ぼう、ただ、この10年が間もなく終わりを告げることに、感謝を捧げよう

2000年代を「最悪」と言うと、歴史的にみて大きな戦争がなかった10年には言い過ぎのレッテルのように思えるかもしれない。この言葉は、悲しいことに、何千人もの、9.11の犠牲者、イラクやアフガニスタンで犠牲になった兵士や一般の人たちの遺族にとっては妥当な言葉だ。しかし、大規模な武力抗争の欠如が、この10年をより一層際立たせた。この10年は、アメリカ全史におけるどの平和だった10年とも同じくらいひどいものだった。西欧諸国がイスラム過激派と苦闘し続けており、最近の瀕死の経済事情があるなかで(この波は、ほとんどの発展途上国を大きく避けて通った)、アメリカが10年の刑罰を受けていたように感じるのは無理もない。アメリカが受けたこの波による影響が最も深刻だったので、アメリカ人は近年の歴史について暗い見方をしているのかもしれない。ブラジルや中国の人は、経済面で非常に恵まれた10年を過ごしただろう。かつてアメリカは、どこよりも日当たりのよい、最も楽観的な国家であった。もはやそうではない。

アメリカは、1つどころか2つの市場崩壊に耐え抜いた、10年の終わりごとに1つずつだ。最初のウォール街の大暴落を思い出してほしい、力を失いかけていたテクノロジー株が、2000年から2001年にかけて市場を大暴落させたのは、2000年3月に10日にナスダックが5049ドルの最高値を記録してから間もなくのことだった。(最近の株価は:2150~2200ドルである)当時、経済は後退したが、それは今となっては笑ってしまうくらい穏やかな不況であった。その後に起こったさっぱり笑えないことというのは:史上最も対立的で、複雑な大統領選である、アメリカ人が、第三世界でしか起こり得ないだろう、と、かつて考えていたような混乱したドラマがあった。

やがてこの10年を決定づける瞬間が訪れた、9.11のテロ攻撃は少なくとも1世代の期間の外交政策を問いただし、それまではほとんど心配したことがなかったアメリカ本土の安全対策に疑問を抱かせた。アメリカはアフガニスタンに戦争をしかけたが、この戦争は延々と続き、今日となっては、かつてないほどに破滅的なものになっている。続いて、アメリカはイラクで大失敗を犯した。忘れてはいけない、炭疽菌が入っているという脅迫の手紙やその後に現れたワシントンD.C.の狙撃者たちと、エンロン社とワールドコム社によって浮き彫りにされたウォール街の不祥事を。

時々、それはまるで、この10年に対する神々の陰謀のようであった。2005年8月29日、この10年のちょうど真ん中で、ハリケーン・カトリーナがルイジアナ州南東部に上陸し、1,500人を超える死者と1,000億ドルの被害を出した。これは、アメリカ史上最悪の自然災害だった。

この10年が終わりに近付いている今もなおアメリカが格闘している経済の大崩壊に関して自然なことは何もない。低金利の融資によって支えられた不動産バブル景気と、金融派生商品によって膨らみすぎた負債が、いわゆる、金融の大量破壊兵器が、アメリカの経済状況を崩壊の危機に追いやった。アメリカは、これから何年もかけてこの損害を整理することになる。一方、この経済の卑劣さの生きた象徴である、囚人番号61727-054、別名バーニー・マドフは、ノース・カロライナ州、バトナー刑務所の独房でやせ衰えながら、人類史上最大のねずみ講を指揮した罪で150年の刑期に服している。


大暴落

この災難を被ったのは我々アメリカ人だけだったのか?2004年のアジア津波は20万人を超える死者をだした。アメリカの金融崩壊は、世界中の先進国にあっと言う間に広まった。それでもまだアメリカは、20世紀を見下ろす高台に居て(TIME詩の共同創刊者はかつて、アメリカの世紀と名付けた)その先端はまるで切り立った崖のようである。我々の中で無傷だったのは誰だろう?多くはいない。家族の誰一人戦闘の犠牲にならず、マドフの金融詐欺にあわず、自宅が抵当に入っていなかったとしても、それでもおそらく、打撃をうけたはずだ。かつてロナルド・レーガンが問いかけた言葉を言い換えてみよう、この10年が始まったころとくらべて、あたなは今、より幸せですか?ほとんどのアメリカ人にとっては、その答えは明確にNOである。その理由をみてみよう。1つには、2000年以降株式市場は26%落ち込み、株に関しては最悪の10年間となった。(インフレを加味するとさらに悪くなる)この10年の初めにウォーレン・バフェットが私に話したことを思い出す、1990年代の高度景気が再来することはこれからも決してないのだから、アメリカは、将来のかすかな復興に慣れたほうがいいだろう。

平均的な労働者にとっては、非常にみじめな10年間だった。2000年の平均的な家庭の収入は52,500ドルであった。昨年(入手できる最新のデータである)は50,303ドルである。失業者率が10.2%まで上昇したために、今年の収入はほぼ確実に減少するとみられる。アメリカ人低所得者の暮らしはさらに厳しかった。2000年には、アメリカ人の11.3%が貧困層にいた。2008年までに、この数値は13.2%まで上昇した。一方、健康保険を持たないアメリカ人の割合は、13.7%から15.4%まで増えた。

驚くことに、住宅の価格はそれほど暴落しなかった、これは、早い時期に購入して今もそのままそこに住んでいる場合である。2000年には、中古住宅の平均的な価格は143,600ドルだった。今日それはおよそ175.000ドルである。しかし思い出してほしい、住宅の価格が高騰していた時期、つまりこの十年のちょうど中間のころに、何百万人ものアメリカ人が住宅購入に大金を費やしたのだ:2006年7月の住宅販売価格は230,300ドルとピークに達していた。もし、その時期に購入していたら(そして抵当に取られてしまっていなければ)、住宅はその価値のおよそ25%を失ったことになる。そこに元気づけられることは何もない。

アメリカ国民の精神は、記録的な数の法人の倒産によってアメリカの国家経済が損害を受けたのと同じくらい傷ついた、倒産した多くは有名企業である:Kマート、ユナイテッド・エアライン、サーキット・シティ、リーマン・ブラザーズ、GM、クライスラー。原油価格はこの10年で3倍以上になり、1バレルあたり70の高値を付けて、アメリカ経済を苦しめた。

もちろん、この10年の悪いニュースは、金融欄だけには収まらなかった。実際に普段よりも悪いニュースがあったのか?答えは、客観的にYESである。例えば、乱射事件や学校での発砲事件が増えていた、例えば、32人の学生が犠牲になった2007年のヴァージニア工科大学乱射事件や、11月に発生したフォート・フード陸軍基地での乱射事件、どの10年と比べても多く発生している。より大規模化したテロ爆弾やテロ攻撃があった、イングラン、スペイン、インドネシア、ロシア、ヨルダン、フィリピントルコ、インド、そしてもちろんアメリカ国内でも。実際の死者数はそう多くはなかったが、テロリストはいつどこででも攻撃できるという考えは、新たな、大きな不安をもたらしている。

我らがヒーローの多くでさえ、大いに欠点があることを明るみに出されてしまった、野球選手、自転車競技選手、オリンピック選手などによるドーピングから、際限のない政治不正や性的不祥事まで。そして、我々は、24時間報道されるケーブル・ニュースや、ブログ、リアリティー・ショーといった、人々の不快な行動を記録し意見を述べるメディアで見ていてもまだ満足しないようだ。さまざまな形のメディアの台頭と、ブログ世界における批評の制限の欠如が、全ての不祥事を強調しているようだ、そのために、汚されていない有名人はほとんどいなくなってしまった。もちろん、この10年に非常に素晴らしい出来事もあった、目覚ましい中国の台頭から、アップル社による一連の見事な新商品たち、ウサイン・ボルト選手の俊足、初のアフリカ系アメリカ人大統領を取り囲むアメリカ国民の団結(一時的ではあったが)である。だが、そういったことは全て、中心となる出来事というよりもむしろ、引き立て役だったように見える。

もしかすると、アメリカは、冷戦終結による繁栄によって自己満足に陥っていたのかもしれない。いつになく前向きに歴史が変わっていっていることによってもたらされた誤魔化しだったのだ。第一に、アメリカと連合軍は第二次世界大戦に勝った、それから45年後に、ベルリンの壁崩壊をもって、アメリカは共産主義にも打ち勝ったのだ。その後、たぶんアメリカ人は信じていたかもしれない、世界が永遠に戦闘から解き放たれるだろうと。一部の思想家はこれを歴史の終わりだと言った。しかし、歴史は死ななかった。再び精力的になった。古い形の戦闘は確かに消えたが、新しく悪意に満ちた戦いが現れた。


http://www.time.com/time/nation/article/0,8599,1942834,00.html

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