Saturday, June 12, 2010

What's Wrong with the World Cup Ball?

By SEAN GREGORY Thursday, Jun. 03, 2010
http://www.time.com/time/specials/packages/article/0,28804,1991933_1991952_1994179,00.html














アディダス社はワールドカップの公式スポンサーになるために大金を払い、今年開催される試合に公式試合球を提供する権利を得た、つまり世界中に数え切れないほどの数のボールを売りさばくチャンスだ。このワールドカップ公式試合球 「ジャブラニ」 は、南アフリカの公用語のひとつであるズールー語のバンドゥ語群で「祝う」を意味するのだが、一部の選手は祝福していない。この新しい試合球に対する不満は轟々たるもので、ともすると、アディダス社はボールの名前を変更しなければならないかもしれない。"不満" をズールー語では何と言うのだろう?

ワールドカップ公式試合球に関する不満は、4年に一度の年中行事になっている。「この試合球は酷い」 と言うのはイングランド代表GKデイヴィッド・ジェイムズである。「酷い、みんなもそう思っているはず。いつもよりゴールが決まるだろうけど、GKは間抜けにみえるだろう。」これは、イングランド代表で、大失敗をしがちなために 「不幸なジェームズ」 として知られている男の言葉だが、不満を言っているのは彼だけではない。不満の対象は、ジャブラニを蹴ると、まるで負傷したアヒルのように飛んでいくことだ。もし、このボールがピッチ上で悲劇を引き起こしたら、WCトーナメントにおける一貫性を脅かしかねない上に、このアディダス社試合球の小売価格も脅かすだろう、ジャブラニはしその仕様によって、25ドルから150ドルまで価格に幅がある。これまでのところ、今回の論争が売り上げに影響しているようには見えない:アディダス社は、アメリカで、2006年WC時の2倍を既に売り上げた。

ブラジル代表の守護神ジュリオ・セザールは、世界屈指のGKだが、ジャブラニに「惨劇」と名付け、よくスーパーマーケットで見かけるような安っぽいゴムボールと比べさえした。シュートしたボールが少しブレながらゴールネットに飛んでいくのは芯にあたっている証拠で、ストライカーは大概好きなはずだが、イタリア代表FWジャンパオロ・パッツィーニはこの試合球を「大惨事」と呼び、ブラジル代表FWルイス・ファビアーノはこの試合球の予測不可能な軌道について不満をこぼしている。「このボールは、蹴っても思い通りには飛ばないんだ」 とファビアーノは語っている 「不自然な感じで、よくないよ。」 1970年WCメキシコ大会のためにアディダス社が開発した "テルスター" 以前の、サッカーボールが皮を縫い合わせた球体だった時代と比べると、技術が格段に進歩した。"テルスター" はバックミンスター・フラーの幾何学的デザイン "バッキーボール" に概ね基いた32面で構成されており、完全な球形にならないよう縫い合わされている。

アディダス社は、ジャブラニのことを 「これまでで最も革新的なボール」 だと述べ、自社の"Grip N'Groove" 技術がこのボールを、歴史上 「最も正確でよく回転する」 ようにさせていると主張している。「ジャブラニは、FIFA基準を満たすために広範囲に及ぶテストを受け、現在、市場に出ている試合球よりも27%正確さが増しているという結果を出した。」とアディダス・アメリカ社のサッカー部門総括であるアントニオ・ズィー氏はeメールを送ってきた。「我々は、今回のWCが成功し、このボールが、最も目に見える象徴のひとつとなるだろうと自信を持って言えるのだ。」アディダス社は、この試合球はたったの8面で構成されているので真っ直ぐ飛ぶのだ、と主張している。同社によれば、ボール表面にある小さな溝もまた風の流れを捉えて、表面の空気抵抗を抑え、その結果として、より理想的な軌道を描くという。アディダス社は今回11という数にこだわっている:ジャブラニは11の色を取り入ているがこれは、11人で1チームということと、南アフリカの公用語が11あること、それからアディダス社が11回連続でWCの公式試合球を製造したことを象徴している。

大会前に、なにか駆け引きが行われているのだろうか?この12月以降プロのトップチームの多くがこの試合球を使用しているが、苦情は皆無であることを、アディダス社は指摘している。その上、不満の多くは、アディダス社のライバルであるプーマ製品やナイキ製品を着用しているチームからのものだった。逆に、全身アディダス製品を着用し、アディダス本社を自国に有するドイツ代表は、このボールを絶賛している。奇妙なことに、"ジャブラニ" のデザイナーはドイツ最大のライバルであるイングランド出身なのだが、母国の選手に、この試合球の有利な扱い方を無償でアドバイスしたいと提案した。しかし、もしこの試合球がそんなにちゃんと飛ぶのならば、ワールドカップ直前になって、世界最高のチームがボールの扱い方を学ぶ必要があるのはなぜだろう?

アディダス社は、一旦試合開始のホイッスルが吹かれればこの論争も沈下するだろうと主張している。確かにそうかもしれない、どちら側の選手も同じボールで試合に臨むのだから。もし、3-0で負けたとしても、たとえ祝福を受けられなかったとしても、ボールのせいにしてはいけない。